束縛の日々。私のひそかな決意。実話③
テンです。
前回の続きです。
血液検査や内診を受け、回復も順調ということで 私は10日で退院できることになりました。
赤ちゃんの方はというと、 まだ体重が足りないため、せめて2600㌘ほどになるまでは、やはりまだ退院することはできそうにありませんでした。
退院の前日、Kが残りの足りない金額を約束通り持ってきてくれたので、 お金の問題はなんとか解決したのです。
先輩、後輩に借りたりして、 なんとかかき集め、工面したそうです。
内心、Kが本当に迎えに来るのか不安でたまらず、時間通りに姿が見えたときは安堵しました。
私は無事、支払いを済ませ退院することができ、 赤ちゃんのもとに、毎日母乳を飲ませに通いました。母乳をよく飲み、順調に大きくなったおかげで、私の退院から二週間後に、赤ちゃんも無事に退院となりました。
そう。このときの赤ちゃんが長女のあみなのてす。
追加の入院費用も、 出産育児金で賄うことができました。
あみが産まれても相変わらず私たちは籍を入れていませんでした。
最初は、甲斐甲斐しく手伝いをしてくれたりしたKでしたが、だんだん本性を現しはじめます。
あみが泣いて、私があみのお世話にかかりきりになると 機嫌が悪くなることからはじまりました。
俺のことはどうでもいいのかと、問うのです。
思えばKは、Kの知らないことで私が楽しそうだと 機嫌が悪くなる男でした。
今まではそれがヤキモチだと思い、 束縛は愛情だと勘違いしていました。
でもそれは自分に自信がないからこその 歪んだ愛情なのですね。
ドラマ「ラスト・フレンズ」を見たとき思い出しました。 "ミチル"と"ソウスケ"の関係に似ています。
かわいいヤキモチと、 異常な束縛は、全く別のものです。
カブさんと知り合って、 一緒にいなくても 信じることが愛情ということも知りました。
カブさんは、ヤキモチのヤの字も妬かないので逆に不安になるほどです。たまには、かわいいヤキモチくらいは欲しいとこですがね。
子育てしながら、Kの束縛に 私は、ほとほと疲れ果て、 精神的に参っていました。 そういえば、 Kと付き合うようになってから、 私は誰とも連絡をとっていませんでした。
友達ですら。
久しぶりに友達と話したかった私は、 Kが出かけている間、あみが眠ったのを見計らって 久しぶりに幼なじみに電話をしてみることにしました。
私からの連絡に友達は驚き、 久しぶりに学生に戻ったかのように話しに花が咲き 盛り上がりました。
その最中、
バンッ
と大きな音がして振り返ると Kがものすごく怒った顔で立っていました。
「男か?」
友達と電話がつながっている状態だというのに、Kが怒鳴ります。 「えっ(*´・д・)?どうしたの?」友達のびっくりした声が受話器越しに聞こえました。 その問いに答える間もなく、Kが電話を取り上げ バキッと真っ二つにしたのです。
あみが泣き出してもおかまいなし。
「俺がいない間にコソコソ電話するんじゃねえ。俺以外の誰とも連絡とるな!」
「なんで?女の子の友達だよ?なんで連絡もしちゃいけないの‼‼」
「口答えするんじゃねー!」
そういうとKは、私の首を絞めました。 意識が遠のく……。
また、私は一瞬気絶したのか どのくらいたったのか目が覚めるとKに抱き締められていました。私の名前を懸命に叫びながらKは泣いています。
もう、立ち向かう気力もありませんでした。 「大丈夫だから……。」 私が小さくつぶやくと Kはハッと私の顔を見て、 「ごめん。本当にごめん。 お前がいなくなりそうで怖いんだ。お前がいないと生きていけない。俺を嫌いにならないでほしい。」
私が死んだと思ったのかもしれません。
Kは「愛してる。」と私の頭を優しく優しくなでました。
自分で殴ったあとに優しくするのは暴力男の典型です。こういう男は治らない。
今ならそう思えます。 でも、その渦中にいると麻痺してしまうのかもしれません。 幸せがなんなのかわからなくなってしまいます。
でも、これだけは言えること。自分の思い通りにならないと 暴力で抑えつける男だけは絶対にダメです。
子供がいるなら尚更、悪い影響しかありません。 あなたにも、誰にでも幸せになる権利がある。
私は、Kに抱きしめられたまま、 あみの泣き声を遠くに聞きながら、 固く心の中で誓っていました。
あみを連れて、逃げようと。 スキを見て逃げだす計画を密かに立てていました。
このままだといつか私は殺されかねない。
絶対に失敗は許されない。 あみを守るために、私はKと決別する。
強く生きなくては…‥。